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バシェ音響彫刻に出会った後、展示されていた2基と、更に2基の全部で4基の音響彫刻による武満徹作曲「四季」が演奏されるコンサートが待ち遠しくて仕方なかった。(4基だけに四季?武満徹がダジャレ好きだったかどうかは知らない、、、)修学旅行前のようなワクワク感だった。そして、コンサート当日。会場に入ってみれば予想以上の入場者数。運良く4基の間に用意されていた座布団に座ることが出来た。音が四方からサラウンドで聴こえる場所である。

最初にジャック・バルザック監督のドキュメント映画「Structures,Sculptures,Sonores Baschet」が上映された。40分の短い間にバシェ兄弟の仕事や作品などが紹介されており、中でも「芸術に説明など不要だ」「芸術に一番大切なのは人の人生を豊かにすることだ」などのメッセージが心に響いた。

休憩を挟んで「四季」の演奏が行われた。展示会で見たのとは違う2基の音響彫刻が気になった。ひとつは赤と黒の反響板のデザインがかっこよく、太いスプリングが3本吊り下げられた「川上フォーン」、もうひとつガラス棒がズラリとならんだ「高木フォーン(クリスタル・バシェとも呼ばれている)」この高木フォーンは何で叩いて演奏するのだろうと興味深々だったが、演奏が始まると奏者は何も持っていない。指でこすっている。なるほど!グラス・ハープの原理か!と理解出来たが、これまた反響板の威力が凄い。低音などゴジラの鳴き声のような音が出る。4人の奏者は互いに見ることもなく背中を向けたまま淡々と演奏を続ける。四方からそれぞれの異なる音響彫刻の音が立体的に放射される。途中民芸品のような玩具が動くシーンがかわいかった。50分の演奏はあっという間に過ぎた。もう50分1セットの演奏を体験したかった。

その後、演奏をされた永田砂知子さんと山口恭範さんにツトム・ヤマシタさんを交えたアフタートークが行われ1970年の万博開催当時の貴重な話が聞けた。京都芸大の柿沼敏江さんの挨拶が終わるとすぐさま駆けつけた。「たのもー!!ドンドンドン!たのもー!バシェと和太鼓で一緒にやりたいんじゃー!ウンと言うまでここを一歩も動かんぞ!」と私は心の中で叫び続けた。しかし、心の声は届かず、そうだ!目は口ほどにモノを言うというではないか!大阪から来ていた万博関係者の人にモールス信号をマバタキで送った。ワ・ダ・イ・コ・ト・バ・シ・ェ・ヤ・リ・タ・シ・・・これにも反応がなかったが私の異常な表情と瞬きの回数から何かを伝えようとしていることに気付いてくれた。それまでの反省点も踏まえて、それからのやりとりは普通に口で会話する方法にしたのであった。終了後は音響彫刻を演奏することが出来、更に興味が深まり、まだ何も決まってないのに、バシェのイベントが実現するならこの映画も上映したい!と私の中での構想は膨らみ続けていたのであった!

目は口ほどにモノを言わない

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